「朝起きると顎がだるい」「パートナーに歯ぎしりがひどいと言われた」「気づいたら奥歯に力が入っている」——こうした経験のある方は、決して少なくありません。
「昔からだからしかたがない」「痛みがないから大丈夫」「マウスピースって意味あるの?」
こんなふうに思っていませんか?歯ぎしり・食いしばりは、痛みはなくても歯や顎を傷め続けます。ただし、適切な治療とケアで歯を守ることはできます。
この記事では、歯ぎしり・食いしばりが起こる原因から、歯科でできる治療の流れまでをわかりやすくお伝えします。
監修:
歯ぎしりと食いしばりは、どちらも「ブラキシズム」と呼ばれる習癖の一種です。「うちの子どもはよく歯ぎしりをする」「寝ているときに音が出る」という相談を受けることが多いのですが、実はブラキシズムには音が出ないタイプもあり、自覚しにくいのが厄介なところです。
大きく3つのタイプに分けられます。上下の歯を強く咬みしめる「クレンチング(食いしばり)」、歯を横にすり合わせる「グライディング(歯ぎしり)」、そして歯を小刻みにぶつけ合う「タッピング」です。グライディングはギリギリという音で気づかれやすいですが、クレンチングは無音のまま何年も続いてしまうことが少なくありません。(※1)
食いしばりは就寝中だけでなく、日中のパソコン作業や集中した作業中にも起こります。本来、安静時の上下の歯には数ミリの隙間(安静空隙)があり、歯は接触していない状態が自然です。1日の咬合接触時間はおよそ17〜20分程度とされており、それを超えて歯を接触・加圧させ続けることが歯や顎関節を傷める原因になります。
近年注目されているのが「TCH(歯列接触癖)」です。強く咬みしめているわけではないのに、上下の歯が常に触れている状態のことで、これだけでも顎の筋肉や歯周組織への慢性的な負担になります。「自分はそんなにひどくない」と思っている方でも、TCHが原因で顎の疲れや頭痛が出ているケースは意外と多いのです。
ブラキシズムは睡眠時・覚醒時ともに生じる反復的な咀嚼筋活動であり、歯のすり合わせや咬みしめを伴う。(引用元要約)
歯ぎしり・食いしばりの原因は、正直なところ「これが原因だ」と一つに断言するのが難しい病態です。複数の要因が絡み合っていることがほとんどで、現時点では完全には解明されていません。
ただ、臨床の現場で特によく聞くのが「仕事が忙しくなってから歯ぎしりがひどくなった」「受験期に歯が欠けた」といった声です。精神的なストレスや緊張が続くと交感神経が優位になり、睡眠中でも咀嚼筋の緊張が高まりやすくなります。ストレスが引き金になっているケースは非常に多いと感じています。
「咬み合わせが原因ですか?」とよく聞かれます。咬み合わせのずれが顎の筋肉に影響し、歯ぎしりにつながることがあるとされていますが、この関係については研究者の間でもまだ議論があります。咬み合わせを整えることで楽になる方もいますが、それだけで歯ぎしりがなくなるわけではないため、過大な期待は禁物です。咬み合わせはあくまで「要因の一つ」として捉えてください。
また、逆のパターンも起こります。歯ぎしりで歯が削れることで咬み合わせのバランスが崩れ、それがさらに顎関節への負担を増やすという悪循環に陥ることもあります。「咬み合わせが悪くなった気がする」という方は、歯ぎしりによる摩耗が原因である可能性もありますので、早めのチェックをお勧めします。
生活習慣も見逃せない要因です。カフェインやタバコは交感神経を刺激し眠りを浅くすることで、睡眠中の咀嚼筋の緊張を高めやすくします。アルコールは一時的に眠気をもたらしますが、睡眠の質を下げて無意識の咬み締めを誘発することが報告されています。「お酒を飲んだ翌朝のほうが顎が疲れる」という方は、これが原因かもしれません。
以下に当てはまるものがある方は、ぜひ一度歯科でチェックを受けてみてください。自分では気づいていなくても、口の中にはっきりとサインが出ていることがよくあります。
※頬粘膜の白い線や舌のギザギザは、自覚がない方でも食いしばりの形跡として確認できることがあります。鏡で一度チェックしてみてください。
「痛みがないから大丈夫」という方がとても多いのですが、それが歯ぎしり・食いしばりの怖いところです。自覚症状がないうちから、歯には着実にダメージが積み重なっています。
| 部位 | 起こりうるトラブル |
|---|---|
| 歯 | エナメル質の摩耗、歯が欠ける・割れる(歯冠破折)。歯が削れたり根元に負担がかかることで冷たいものがしみる知覚過敏も起こりやすくなります。 |
| 詰め物・かぶせ物 | セラミックや樹脂が割れたり、銀歯も外れやすくなる。せっかく入れた補綴物が短命になります。 |
| 歯ぐき・歯周組織 | 過剰な力が歯を支える骨(歯槽骨)を溶かすスピードを速めることがあり、歯周病の悪化・歯のぐらつき・歯ぐきの退縮につながる場合があります。 |
| 顎関節 | 顎関節症(口が開けにくい、顎が痛む、クリック音)。進行すると食事や会話にも支障が出ます。 |
| 顎の筋肉 | 咀嚼筋の疲労・痛み。原因不明の偏頭痛や朝起きたときの首の痛みが食いしばり由来であることも少なくありません。 |
インプラントやセラミック治療後に歯ぎしり・食いしばりが続くと、人工歯根の破損や上部構造の脱落につながるリスクがあります。高額な治療を長持ちさせるためにも、ブラキシズムへの対処は欠かせません。「治療したのにすぐ壊れてしまう」というお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。(※2)
睡眠時ブラキシズムは歯の摩耗・歯冠破折・補綴物の損傷・顎関節症状と関連していることが複数の研究で示されており、歯科的管理の対象として位置づけられている。(引用元要約)
まず大切なのは「自分が本当に歯ぎしり・食いしばりをしているのか」「どの程度のダメージが出ているか」を知ることです。自分で判断するのには限界がありますが、歯科では歯の摩耗状態・頬粘膜の咬み跡・顎関節の状態などから客観的に確認することができます。
「音が出ないから大丈夫」と思っていても、検査してみると歯がかなり削れていた、というケースは珍しくありません。まず現状を知るところから始めましょう。
歯科で最も広く行われている対処法が「ナイトガード(マウスピース)」の作製です。歯の型を取って作るオーダーメイドの装置で、就寝時に装着することで歯に直接かかる力を緩衝します。
ただし、ナイトガードは歯を守るための保護装置です。歯ぎしりそのものをなくすものではありません。「つけても歯ぎしりが治らない」という声も聞きますが、それは誤解で、目的は「今ある歯や補綴物を傷めないこと」です。ナイトガードがあるとないとでは、歯へのダメージが大きく変わります。
ナイトガードで歯を守りながら、並行して根本的な原因にもアプローチすることが理想です。
ただし、残念ながら現在の医療では歯ぎしりや食いしばり自体を治すことはできません。ストレスが要因であれば生活習慣の見直し、咬み合わせが関与している場合は咬合調整、TCH(歯列接触癖)が強い場合はセルフケアの指導を行います。
「何年も食いしばりが続いているが、ナイトガードだけで本当にいいのか」と感じている方は、ぜひ原因まで含めて相談してみてください。一緒に整理していきましょう。
歯ぎしり・食いしばりは、一度対処すれば終わりではありません。ナイトガードも長く使えば摩耗しますし、ストレス状況や体の変化によって症状が増減することもあります。定期的に歯科でナイトガードの状態確認・咬耗チェックを受けることで、「気づいたら歯がボロボロになっていた」という事態を防ぐことができます。
定期メインテナンスは、歯ぎしり・食いしばりのある方にとって特に重要です。3〜6ヶ月に一度の受診を習慣にしていただけると、長く自分の歯を守ることにつながります。
「ナイトガードはいくらかかるの?」というご質問は非常に多いです。歯ぎしりや顎関節症の症状がある場合、ナイトガードは保険診療として作製できる場合があります。保険適用の場合、3割負担でおおよそ3,000〜5,000円程度が目安です(初診料・レントゲン・型取りなどは別途かかります)。
※保険適用の可否は症状・診断内容によって異なります。
「朝起きると顎が疲れる」「歯が欠けやすくなった」という方は、まず現在の状態を確認するところから始めてみてください。アップル歯科六本松では、デジタルスキャナーを用いた精密な型取りによるナイトガード作製や、プライバシーに配慮したカウンセリングルームでの丁寧なご相談を受け付けています。一人で抱え込まず、気軽に声をかけてください。
福岡市六本松で歯ぎしり・食いしばりのご相談はアップル歯科六本松へ
この記事の編集・責任者は歯科医師の佐々木大地です。
歯科医師 佐々木 大地

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